『ドグラ・マグラ』…日本三大奇書の一冊。読んだ者は頭がオカシクなってしまうと言われている。
中野ブロードウェイをウロチョロしているサブカル民にとって、あの分厚い小説を読んでることはステータスであり、バイブル的な存在で皆持ち歩いてるのであった。
ボクも専門学校時代、あの分厚い文庫本を片手に校舎をウロツキ、鞄には丸尾末広のバッジをギラつかせ、そして、腰にはジェリービーンズの化け物のぬいぐるみをぶら下げ、サブカル男子を気取っていた。
気取りすぎて、いつしか陰で、『サブ夫』と呼ばれていた。ひどい時には、『サブイボ』と呼ばれ、『サブイボが来たぞ!サブカルがうつるー!』とうしろ指さされたモノだ。まるでねんねのようにね。
しかし、若かったボクには、『ドグラマグラ』は難しすぎる作品で、チャカポコチャカポコしてる間に眠ってしまい、到底最後までたどりつかなかった。ドリエルよりも効くと言っても過言ではない。
そう、サブカル男子を気取っていた『サブお』にとって、あの分厚い小説は、サブカルカッコつけアイテムであり、装飾品だったのだ!憧れの余りに持ってはみたが、にわかサブカリストの身の丈には、全く合っていなかったのだ!ヤンママが持ってるヴィトンやCOACHの鞄なのだ!
そうこうしてるうちに、同級生のジャンボくんに貸してと言われ、断れない弱気なボクは易々と貸してしまった…
それから20年余り時が経つが、ボクの青春の『ドグラマグラ』は帰ってこない……。
卒業後、『ドグラマグラ』をちょっとだけ読んでしまったボクは、ちょっとだけオカシクなってしまい、演劇実験室万有引力に入団してしまった。
そして、ちょっとだけオカシイので、演劇を20年近く続けてしまった。
ちょっとだけオカシイよねぇー…。
そんなこんなで、2021年7月、ちょっとだけオカシイボクは、再び思い出の『ドグラマグラ』の目の前に立っている。
あの分厚い小説を分かりやすくまとめ上げ、チャカポコで眠らないよう2時間弱の戯曲にしてしまった高取英は、スゴくオカシイ。
そして、だいぶオカシイ森永理科が、どんな演出をしていくのか、乞うご期待ある。
話は全然変わるが、イヤミス好きとしては、『向日葵の咲かない夏』とか『暗黒女子』とか、サイコシスに舞台化してほしいと思っていたりする。前者は、そもそもどう舞台化するのか気になるところだし、後者は……闇鍋演劇、いいじゃないか。
…あ、ここまで書いといて、全然稽古場日誌になっていないことに気がついた…。
稽古は順調でーす!髙橋優太でーす!以上!
髙橋優太
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DGURA MAGRA -ドグラ・マグラ-
作 夢野久作
脚本 高取英(ドグラ・マグラ月蝕版より)
演出 森永理科
音楽 EURO(SPEED-iD)/J・A・シーザー
2021年7月16(金)-19(月)日
会場:新宿スターフィールド 公演の詳細はこちら
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